マルチセクションバックアップとは

この記事ではマルチセクションバックアップについて解説します。

 マルチセクションバックアップとは

マルチセクションバックアップはデータファイルを複数のバックアップピースに分割してバックアップする方式です。

通常のバックアップではデータファイル単位でチャネルが割り当てられます。

バックアップ処理をパラレルで行っている場合もデータファイル単位で処理が行われるため、大きいデータファイルがあったり、データファイルのサイズに差があると適切にパラレル処理が行われない場合があります。

マルチセクションバックアップを行うことで、複数のチャネルで効率的にバックアップを行うことができます。


 通常のバックアップでの処理時間

マルチセクションバックアップの使用の有無でバックアップ時間がどの程度変わるか比較してみます。

まずはマルチセクションバックアップを使用せずにパラレル度を2にしてバックアップを実行します。

実行時のログを抜粋したものが以下になります。

backupをXX-XX-XXで開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1の使用
チャネルORA_SBT_TAPE_2の使用
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:33:05
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:25
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:45
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:15
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:15
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 02:51:06
backupをXX-XX-XXで終了しました

バックアップにかかった時間は「02:51:06」でした。

各チャネルの処理時間をみると、「チャネルORA_SBT_TAPE_1」の処理時間の合計が「2:51:06」、「チャネルORA_SBT_TAPE_2」の処理時間の合計が「0:34:45」となっています。

チャネルの処理時間に偏りがあり、パラレルで処理を行っているにも関わらずリソースを有効に使えていません。


 マルチセクションバックアップ使用時の処理時間

同じデータベースでマルチセクションバックアップを有効化してバックアップをしてみます。

バックアップピースのサイズを「256G」に指定してバックアップを取得します。

バックアップ時のコマンドは以下のようになります。

BACKUP INCREMENTAL LEVEL 0 SECTION SIZE 256G;

バックアップコマンドの後ろに「SECTION SIZE 256G」をつけます。

実行後のログの抜粋は以下の通りです。

backupをXX-XX-XXで開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1の使用
チャネルORA_SBT_TAPE_2の使用
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

1から33554432のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

1から33554432のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:05:45
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

33554433から67108864のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース2 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:09:20
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

67108865から100663296のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース3 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース3 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:29:26
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

100663297から131072000のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース4 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース4 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:15
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

33554433から65536000のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース2 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース2 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:19:55
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

1から33554432のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:15
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

33554433から65536000のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース2 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース2 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:15
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

1から33554432のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:05:15
チャネルORA_SBT_TAPE_1: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

33554433から65536000のブロックをバックアップしています
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース2 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース2 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 01:20:42
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:03:45
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:06:55
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:25
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:45
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:15
チャネルORA_SBT_TAPE_2: 増分レベル0のデータファイル・バックアップ・セットを開始しています
チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています

チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)を起動します
チャネルORA_SBT_TAPE_2: ピース1 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_2: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:15
チャネルORA_SBT_TAPE_1: ピース2 (XX-XX-XX)が完了しました

チャネルORA_SBT_TAPE_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:44:16
backupをXX-XX-XXで終了しました

バックアップの処理時間は「1:48:57」で、およそ1時間ほど短縮できています。

チャネルごとの処理時間をみると「チャネルORA_SBT_TAPE_1」の処理時間の合計が「1:48:57」、「チャネルORA_SBT_TAPE_2」の処理時間の合計が「1:38:47」となっています。

マルチセクションバックアップを使用することによって各チャネルが均等に使用され、効率的にバックアップの処理がされていることがわかります。